8日の蒲郡は堅い決着が続いた。後半のイン逃げ6連発には参ったが、全12レースで1号艇が9勝、2着2本、3着1本とオール舟券絡み。蒲郡や関東なら多摩川、関西なら尼崎など、広いプール水面で、水面状況がいいケースでは堅い決着が多い。
まるで流れ作業のように、1号艇が逃げ、展開次第で2~6号艇の着順が入れ替わる。ボートレースと言われるようになった昨今、競艇を始めた方には、これが当たり前と思われるだろうが、昭和の時代から競艇にいそしむ者にとっては、魅力半減のレース形態と思わざるをえないだろう。
何より、コース取りの面白さがない。8日の蒲郡でも、進入で動いた選手は不在。4Rで高井雄基が大外に回った以外は、すべて枠なり進入だ。準優9Rに出場した地元の古豪・新美恵一も、展示では6号艇から動きながら、本番はスローの6コース。「オール進入固定」のような淡泊なレースがこう続いては、「水上の格闘技」と呼ばれたかつての競艇の面影はどこにもない。寂しい限りだ。
明日の蒲郡の優勝戦も、誰もコース取りで勝負に出ることなく、1号艇の磯部がすんなり逃げて優勝するのだろう。往年の名選手が「トップ選手は孤独なもの」と言っていたのを思い出す。選手間では嫌われても、ファンには愛される。そんな真の「侍レーサー」が少しでも増えてくれば、競艇は確実に面白くなるのだが。
香月